黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

 人間扱いしてもらえない方が好都合だ、人間扱いされていたらオートロックのドアに苦戦していただろう。

 窓も無く薄暗い部屋だが、外から聞こえてくる兵士の動きと体に伝わる大気で大体の時間は解る。

 そうして時間が過ぎていき──

「!」

 目の前の扉が開かれ、白衣を着た数人が入ってきた。

 血液でも採りに来たのだろう、これで1日が経過した事になる。

 血液以外に、髪の毛や皮膚も採されて、科学者たちは入った時と同様、無言で立ち去った。

 そろそろ、いいかな?

 ベリルはそれを見送ったあと、ペロリと唇を軽くひと舐めし両腕を器用に動かす。