ベリルは部屋を見渡した──見渡すと言っても、かなり狭苦しい部屋だ。
上部の角には監視カメラが右左に設置されている。
それから、両腕の枷(かせ)に目を移す。
枷にかけられている錠は頑丈に見えるが、ちょっとした“こつ”さえ掴めば鍵が無くてもすぐに外せそうだ。
「人間扱いしない」というなら、無茶な拘束の仕方をすれば良いだろうに、などと薄笑いを浮かべた。
「ふむ……アタックポイントにはまだ到着しとらんな」
ぼそりとつぶやく。
内部から攻撃を仕掛けて攪乱し、外から本格的な攻撃をかける作戦だが、仲間たちが準備を整える前に逃げては作戦にならない。
ベリルは仕方なく、このまましばらく待つ事にした。