不死になる前から、彼はこの世界では名の知れた者だった。

『素晴らしき傭兵』

 敬意を持って呼ばれ、今でもそれは変わらない。

 他にもいくつか勝手に付けられた名はあるが、どれも彼には気に入らなかった。

 通り名とは、そういうものなのかもしれない。

 イタリアの酒場──バール──は、暖かな間接照明と品の良い音楽が流され、客はそれぞれの酒を楽しんでいた。

「よう。ベリル」

 テーブルでのんびりグラスを傾けていたベリルに、傭兵仲間のキムが声をかけ彼はそれに、軽く手を挙げて応えた。