黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

「沢山、殺してきたんだ。どうせ天国なんかに行けっこない。死ぬなら、あんたの手で殺して」

「馬鹿な事を」

 ノインは、拒絶された感覚に目を見開いた。

「だったら!」

 ノインはナイフを取り出し、自分の心臓に突き立てようとした。

「! よせ!」

 きらめく銀色の刃に手を伸ばす──

「グッ、ウ……」

「ハッ!?」

 肉に突き刺さる感触と小さな呻き声に我に返り、目の前のベリルを見やる。

 その胸にノインのナイフが突き刺さり、じわりと赤い液体が広がっていく。

「っあたし……」

 愕然とするノインに、ベリルは痛みをこらえてキスをした。