黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

「で、何の用?」

「特には無い」

「はあ?」

 しれっと答えたベリルは、カーペットの敷かれた床に座り込む。

 ノインの部屋は、ベリルのマンションに比べるとかなり狭い。

 ソファなど置けるスペースは無く、かろうじてダイニングキッチンとリビングを兼ねた寝室に、風呂とトイレが分けられたセパレートという造りだ。

 マンションなど借りていたら、怪しまれること間違いなしなので、わざとこんな部屋を選んだ。

 ノインは、ぶっきらぼうに麦茶をテーブルに乗せる。

 ベリルは、肩肘をベッドに乗せて麦茶を傾けた。

 それに眉を寄せ、溜息混じりにベリルの斜めに座る。