黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~


 大学も終わり、ノインは自分のアパートでクッションを抱えて悩んでいた。

「どうしよう」

 そりゃあ生徒として行くんだから、それなりの対応をしてればいいだけなんだけど、ボロを出さないか自信が無いよ。

 ベリルはきっと完璧に演技するんだろうけど……そんなとき、玄関の呼び鈴が鳴る。

「?」

 尋ねてくる人なんていないはず、とドアを開いた。

「はー……い」

 ドアを開けると、ベリルが立っていた。

 しばらく沈黙が続き、ベリルは入り口のへりに左肘を付いてノインを見下ろす。

「処で」

「確認せずにドアを開けるな。でしょ」

 ノインは大げさに肩をすくめて、後ろを向いた。

 それに続くようにベリルも室内に滑り込む。