黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~


 次の日──

「ねえ、昨日のアレ。なんだったの?」

「あ、あれは、えと……」

 麗奈に問いかけられ、ノインは言葉を詰まらせた。

「なんかね、友達の妹が誕生日で、そのプレゼントを選んでくれって……バイクだったから1人しか誘えないし、急いでたから説明出来なくてごめんって」

「ふ~ん」

 く、くるしい説明だな……自分で言って冷や汗を垂らす。

「あ、そういえばさ」

 麗奈は講義中だというのに、ひそひそ話を続けた。

「ベリル先生のデスクの上。凄い数のラブレターがあったわよ」

 ズキリ……心が痛む。

「返事を聞きに来たコには、丁寧に断ってるんだって」

 そんな言葉にホッとする。