黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

 何の真似だって?

 キスって、相手のコトが好きって以外に、何か言い表せるコトがあるワケ?

 ノインの心に、少しの怒りが湧く。

「昼間のお返し」と軽く言ってやろうと思っていたノインだったが、心が大きな音を立てた。

「何よそれ、普通はこれで解るもんじゃないの?

 それとも、解っててあたしを拒絶してるの?」

 立ち上がり、見下ろしたベリルの瞳は憂いに満ちていた。

「どうして言い返さないの?」

 あたしは、本当は解ってる──ベリルは優しい代わりに、誰かを愛するコトは出来ないんだ。