黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~


 ノインは、ベリルのマンションに行き、彼の腕の中で眠りに着いた──心地よい温もりと胸の鼓動、この温もりを手放したくない。

 この感情が親への思慕の念なのか、恋愛感情なのかを彼女は計りあぐねていた。

 ベリルの暖かさに、両親の記憶が呼び覚まされる──同時に、彼の笑顔に心臓が高鳴る。

「……」

 眠れない、あんなキスするからだ。

 あたしがやらせたようなもんだけど、ホントにやるとは思わなかったんだもん。

 それだけあたしのコトに必死になってくれたってコトだけどさ……ノインはギュッと目を閉じ、ベリルにしがみついた。

 むくりと起き上がり、静かに寝息を立てているベリルを見つめる。

 起きてるんだろうな~、これだけ動いて気が付いてないワケない。

 今キスしたら、きっとびっくりするよね。