黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

 ニヤリと笑った男が、左手をクイ……と引く動作をする。

「! があっ!?」

「ベリル!?」

 ノインの目に、ベリルの右腕がぼとりと地面に落ちる光景が映った。

 一瞬、背筋が凍り付く。

「……っ」

 ベリルは、激しい痛みをこらえて左手で銃を抜き、男に引鉄(ひきがね)を引いた。

 左太ももに当たったが、構わずに駆け寄ってくる。

 その目はベリルの首を狙っていた。

「!」

 まずい、首を切り離されては抵抗すら出来なくなる。

 男の刃がベリルの首に触れる直前──大きな破裂音が響いた。

「ぐ、あ……」

 呻き声を上げた男の胸には、向こうが見えるほどの大きな穴が空いていた。

 赤い液体がドッと噴き出し、ゆっくり地面につっぷす。