黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~


 しばらくバイクを走らせ海岸沿いの広い空き地で止まると、黒塗りの車も10m先で停止した。

 広大な埋め立て地には、まばらに草が生え足下の砂利が若干の動きにくさを感じさせる。

 海風が頬をかすめ、漂う緊張感がノインに懐かしい心地よさを与える。

「!」

 ノインが、出てくる男たちを見つめていると手に硬い感触──こっそりベリルがハンドガンを手渡していた。

 あたしの愛用の銃だ、家から持ってきてくれたんだな。

 車から4人の男が出てきた。

 そのうちの1人がベリルを睨み付け、ノインに視線を移した。

「ノイン! 仕事を途中で放棄するのか」

 それでもプロか?

「あたし、いつプロになったの?」

 大学生なんですけど、と肩をすくめた。