黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~

「どうした」

 ベリルは、フルフェイスのヘルメットを脱いでいつもと様子の違うノインに怪訝な表情を浮かべた。

「なんでもない」

「きゃ~! ベリル先生!」

 ベリルに気がついた麗奈が、嬉しそうに走ってくる。

 笑顔で応えるベリルに、麗奈はノインの腕を小さくこづいた。

「なんだ、ノインも先生に興味あるんじゃん」

「え、まあ」

「なんの話だ」

「なんでもありません~」

 満面の笑みと共にバイクを見つめる。

「それにしても大きなバイクですね」

「小回りと安全性を兼ねてね」