黄昏の彼方~碧き蠱惑のミューゼ~


 その夜も、ノインはベリルの寝室に訪れた。

 抱きしめて頭をなでるが、自覚が無い限り幼児後退を治す事は出来ない。

 そのとき──

「ハッ!?」

 ノインが我に返り、驚いてベリルから飛び退いた。

「あたし、何してた?」

「何も」

 本当の事を言えばいい。だが、何故かベリルは躊躇した。

 思えば、彼女はほとんど誰にも頼らずに生きてきた──彼女には彼女なりのプライドもあるだろう。

 そのプライドを傷つけたりはしないだろうかと戸惑う。

 しかし、ここで話さなければ次のきっかけはいつ来るのか解らない。