フッ。
そうか、君もほんとは女の子と触れ合いたいんだな?
“氷のプリンス”とか言われているが、ほんとは嫌なんだろ?
「あーあ、あの女の子可哀想〜」
「派手に転けちゃったね」
テントの下に居る成瀬川の周りを囲む女の子達がそう言った。
俺は100メートル走を走る女の子達に目をやる。
誰だろうか、あの至って普通すぎる女の子は……。
いや待てよ、なんとなく見たことあるようなないような。
フッ、やはり気のせいか。
俺は可愛い女の子の顔と名前は忘れないのだからね。
転んだ女の子を笑う声がチラホラ聞こえる。
「あれ、川村さんだよねぇ」
「うん。川村さんってほんとドジっていうか、トロいっていうか」
ほおぅ、転んだのは“川村”という女の子らしい。