ピストルの音と同時に一年の女子の100メートル走が始まった。

可愛い子、いっないかなぁ〜♪

次はどの子にしようかなー。


「あ、南センパイだ」

「いやん〜。素敵っ」


俺に注目する女子の声がした。

フッ……。

やはり、当然だろう。



「でもやっぱり一番は王子様の成瀬川くんだよね」

「うんうん! 王子ってカッコよすぎるし何でも出来るしね!」


くっ、クソッ!

また成瀬川の名前があがった!

あの野郎が入学してから俺の知名度は下がりつつある。

なんとか成瀬川を王子の座から引きずりおろす方法はないのか!?



100メートル走のゴールの真ん前には、救護所的なかんじのテントがあり、保健委員が居る。

が、そこに何故だか保健委員でもない成瀬川が居るじゃないかっ!

女の子達に囲まれやがって!

成瀬川はただジッと一年の女の子の100メートル走を見ていた。