あーあ、言っちゃった。
いくら不細工な男でも、会話からして先に手を出したのは桜井の方じゃないか。
僕は知らない……。
君がどうなろうと知るもんか。
――ドスッ
逆上した男が桜井を押し倒した。
さすがに僕もちょっとビックリ。
このままだとほんとに襲われちゃいそうだ。
「やっ……! 離して……!」
抵抗する桜井に興奮する男は熊みたいだった。
下劣な野郎だな。
桜井は散々人のモノを奪ってきたツケが回ってきたんだろうと僕は思った。
でも、あんなに最悪な根性の持ち主の桜井が泣いているように見えた。
というか泣いていた。
「や…だぁ……」
僕は木の陰から移動すると体育館裏の壁に背中をくっつけてカメラを構える。
今日は最高にいい写真が撮れそうな気がしていたんだ。
――カシャッ
シャッターを切ると桜井を抑えつけていた男が顔を上げた。



