千秋は一瞬眉を動かして、フッとひんやりと冷たく笑う。
「このオレに、なんて口きいてんの?」
ひぇええええええ……。
やっぱり怒った……?
千秋はあたしの顎に手を添えて上向かせる。
「どの口が言うのかな?」
ドキンッ……。
至近距離でそんなことを言わないでほしい。
千秋の瞳が、千秋の声が、千秋の吐息が、あたしの胸を高ぶらせるから。
「ち……違うの……。走ってきたから汗かいてて……」
千秋に顎を持たれた状態で必死に口を動かした。
今のあたし、ちょっとマヌケだなって我ながら思う。
だけど言ったことは本当だった。
か、彼氏に会うのに汗臭いって恥ずかしいんだもん。
「走ってきたのか?」
「そ、そうだけど」
「ふーん」
「な、なによ……」
千秋はあたしの顎を引き寄せニヤリと笑って言った。
「それ、オレに早く会いたかったって聞こえるんだけど?」



