「桜井の噂ならオレも聞いたことある」
「へぇ」
次の日、同じクラスのヤツがカメラを磨く僕に言った。
どうせアレだろ?
人のモノが云々とかいう噂だろ?
「桜井って、処女らしいよ?」
「へぇ……」
「でもよ、嘘っぽくね?」
「さあ? 僕は興味ない」
桜井が処女だろうとなんだろうと僕にはどうでもいい話だ。
悪い噂を消すためにどうせ自作自演のデマを流したんだろう。
「オレ思ったんだけど」
「なに?」
「桜井って涼に似てるよなー」
「は? 冗談だろう?」
やめてよね。
あんな女と僕が似てる?
笑えないんだけど。
「ううん。似てる」
「どこが?」
「ひねくれてるところが」
昨日の桜井みたいに僕は反論することが出来なかった。
だってそれは僕自身がかんじていたことだったから。
ひねくれ者の君を見て僕みたいだって思ったから、桜井が大嫌いなんだ。



