慎の唇が熱くて触れられる度にドクンッと鼓動が揺れた。
「文庫本を捲る葉月の綺麗な指とか、天使の輪が光る黒い髪とか」
慎は吐息混じりに呟きながらあたしの指先を舐めて、髪の毛に指を通してゆったりと絡めてくる。
慎はこんな美形な顔でこんなに頭がよくて、理知的で、優しさや思いやりだって十分にあるわ。
なのにどうしてあたしみたいに可愛げのない女を想ってくれるんだろう……。
「葉月?」
視界が霞んでくる……。
慎の想いが嬉しかったのよ。
涙が溢れそうで必死で堪えた。
不思議とあたしも慎の理知的な瞳に触れたくなって、そっと手を伸ばした。
「葉月、怖い?」
「…違うわ」
怖さはもうなかった。
ただ嬉しかっただけなの。
慎があたしと居てくれることが何よりも嬉しかった。



