サマースクールの日の夜にシイがあたしに遠慮して部屋を後にしてから少し経った頃だった。



「慎はバカよ。……部屋に来る時に、西山に見つかったらどうするのよ!?」


また荒い口調になってしまう。

慎が部屋に来てくれたのは嬉しいのに、ドキドキする自分が悔しくて素直に表現出来ないのよ。

こんな可愛げのない態度をとる女って、あたしだけなのかしら。



「大丈夫。オレは学年トップだから、多少のことは目を瞑ってくれる」


メガネの奥の瞳を柔らかく緩め、クスリと小さく笑う慎に余裕すら感じる。



「はぁ? バレたら誤魔化しなんてきかないのよ?」