「ほんとは雅弥にも声かけたんだけど、“行かねぇ”って言われたのよ」
テーブルの上にあるグラスをあたしに手渡しながらユリさんが言った。
「まあ、千秋の家っていうのもあって、嫌だったみたいなの」
「そ、そうなんですか」
千秋と羽鳥って犬猿の仲だからそれはあるかも。
「アイツは、あの女が気に入らねぇんだよ。わりぃけどオレも雅弥と同じだ」
「……そう」
ユリさんが困った顔をするけど、千秋は構わずに続ける。
「ユリに頼まれたからコイツを連れてきたけど、祝うつもりはねぇから」
千秋はさりげなくあたしの手からグラスを奪いテーブルに戻した。
そしてパシッとあたしの手首を掴むと、千秋はそのままリビングを出て階段をかけ上がり、自分の部屋にあたしを押し入れる。



