お姉ちゃんのアパートから離れ、歩きながらあたしは問いかける。
「…どこ行くの?」
「オレの家」
「な、なんで? やだよっ」
「いいから来いって」
隣を歩くあたしに言った千秋の、無造作にセットされている色素の薄い茶色い髪の毛が揺れた。
「いきなりなによ……。連絡くれなかったクセに。バカ王子……」
唇を尖らせて生意気を言うあたしを横目で見ると、千秋は小さく笑っただけだった。
その余裕ともとれる笑みがあたしの張りつめた感情を掻き立てる。
「ちゃんと話すから」
俯いているとあたしを見透かしたかのように千秋がそう答えた。
……いつだってあたしは千秋に見透かされてる。
だったら、わかっているなら。
あたしは足を止めて千秋の手から自分の手を離した。
「…不安にさせないでよ……」



