ガキの頃は毎日のように一緒に居ることが当たり前だったアイツを完全消去したのはオレの方だ。

それでも、本気でアイツになりてぇと思った。

オレのこと男として見てくれて、キスだって堂々と出来て、オレの言葉にいちいち一喜一憂して。


そんなシイを見れるなら、アイツになりてぇよ。


………本気で思った。



どうしたらお前の心を奪えるんだろう。

どうしたらお前は、千秋じゃなくてオレを見てくれるんだろう。



1%の勝算もないけど、負ける勝負だってわかってるけど……。

それでもきっとずっと情けねぇくらいにオレはシイが好きなんだ。


どうしてシイがオレじゃなくて千秋じゃなきゃダメなのかなんて、ずっと永遠にわからなくていい。



――だからせめてあと少しだけ、悪足掻きさせてくれ。



そんなオレが違う恋をするのは、もう少し先の話だったりする。


END.