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常磐は店の前に立つ男を一瞥してから、盛大に溜息を吐いた。
「オイオイ、人の顔見て溜息吐くことないだろ? まぁ体には良いんだが、ホラ、幸せが逃げるっていうしな」
「アンタが来たことで俺の幸せが逃げたよ」
目の前の男・勇一は何が面白かったのか豪快に笑いながら常磐の背中を力強く叩き、店を覗き込んでカノヤに挨拶をした。
常磐は溜息を吐きながら、「で、統帥様が何の用だよ」と心底嫌そうに尋ねた。
すると、勇一は思い出したように言った。
「あ。いやぁ、麗雨に何か駄菓子の詰め合せでも買ってやろうかと思ってな。捜査頑張ってるからさ」
「成る程ね。可愛かったもんな、麗雨ちゃん」
常磐がそう言うと、勇一は偉そうに胸を張り、自慢げに言った。
「だろ? 俺も感激して記念撮影しちゃったよ!」
「どんだけ喜んでんだよ」
「はっはっは、俺にとっちゃあ娘みたいなもんだからな」
「親馬鹿かよ」
これ以上話しても無駄か、と思いながら、詰め合せ用の袋を取り出し、ふと常磐は疑問をぶつけてみた。
「なぁ、馬鹿親」
「ちょ、そこ逆にすんのかよ。で、何?」
勇一は苦笑しながらも続きを促した。
常磐は続けた。
「麗雨ちゃんって、何で愛護なんかやってんの」


