* * * *
「本当に彼女で良かったんですか」
デスクで書類を見ていた紫呉に、浩也は声をかけた。
紫呉は億劫そうに振り返り、「例の潜入捜査の件か?」と返した。
浩也は頷いて、「だって…」と小さく呟いた。
「隊長は…人間とは色が違い過ぎます。周りの生徒に何を言われているか…。心ないことを言う輩ばっかりですから…」
その顔には心配です、と書かれているみたいで、紫呉は思わず苦笑してしまった。
「ちょ、笑うなんて酷いです」と言いながら浩也は口を尖らせ、紫呉をきっと睨み付ける。
「あぁ、悪かったな。何、問題はないさ。そっちの方はな」
「そっちの方は……?」
紫呉の言葉の意味を計りかね、浩也は訝しげに眉を寄せる。
紫呉は再び困ったように笑ってから、肯定の頷きをした。
「アイツは……麗雨は、人間でも穹人でもないからな」
「……?」
どこか遠くを見るように、レンズの奥の瞳が細められた。


