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金属と金属のぶつかり合う甲高い音が聞こえ、始めは好戦的だった穹人の暴動集団も、すっかり怯えながら愛護の指示にしたがって避難していた。
二本の剣を手に血走った瞳で、鉄パイプを持った麗雨に飛び掛かる尚輝に、最早先程までの落ち着いた様子は欠片すらも見当たらない。
会議室で上司と部下、更に庶民を悩ませていることなど、この二人は微塵も知らない。
「大の大人がプリンくらいケチケチすなや。また買ったら良いべや」
「ふっ、知らないのかい? 昔から“食べ物の恨みは恐ろしい”と言われてるんだよ」
「そらァ今の状況にピッタリ過ぎて笑えねェな。上手い事言うもんじゃのォ、人間てのァ」
二人は体もそうだが口も休まる気配が無い。
喧嘩は強いが頭が弱いと言われている麗雨が、口喧嘩も強いと発覚した瞬間である。
「世の中下剋上だ。この際だから俺に隊長の座を譲ったらどうだい?」
「無理じゃい。わしゃ書類整理は好かんきに」
組み合っていた二人が一旦離れ、距離を取る。
隊舎の門はいつの間にか消し飛んでいた。


