それよりさ、と常磐は言いながら、大きな皿に鈴カステラを盛り付ける。
アンタにはそれしか無いのか。
カノヤはその様子を見ながら、口に出さず突っ込んだ。
「アンタの名前わかんない。俺は松金常磐。とっつぁんね。そこでゴソゴソしてるのはカノヤ。アンタと同じ先住民様だからさ、話、合うんじゃない」
「……アリア。私はアリアよ。…何で、人間のくせにこんなことしてるの?」
アリアと答えた女は、常磐を見て眉を寄せた。
まだ信用されたわけではないのか、と思いながら、常磐は口にカステラを含む。
常磐はそれを咀嚼しながら、少し考えるように黙り込む。
アリアが黙ってその様子を見てきたので、流石の常磐も焦ったのか、慌てて口を開く。
「えーと、アレだ、理由なんてねーよ。ただ、」
「……ただ?」
「目の前で困ってる奴を見捨てられるほど、非常識じゃないから」
アリアは茫然と常磐を見返した。
「困ってんなら助ける。苦しいなら支える。そうしてりゃー、いつか自分にも返ってくんじゃん?ま、俺の場合は無償の愛だけど」
おそらくアリアのために出された鈴カステラは、常磐が綺麗に平らげた。


