びりびりと空気が震える。常磐は感情を露にして叫ぶカノヤの姿に驚き、間抜けに口を開けていた。
「お前……」
「僕だって人間が憎いと思ったことは沢山あるよ。この髪の色。背中の痣。穹人だってだけで蔑まれて、差別されて、仕事もクビになって……正直、人間なんか居なくなってしまえば良いってずっと思ってた」
常磐も、麗雨の傷を診ていた紫呉も、黙ってカノヤの言葉に耳を傾けた。
「だけど、僕は……とっつぁんに出会って、こんな考えの人も居るんだって………みんながみんな、差別する訳じゃないんだって身をもって知ったんだ。だから僕は、穹人と人間が一緒に住む世界も実現できると思う」
カノヤはチラッと麗雨を見た。
「麗雨さんが生まれたのは、あなたと…人間のあなたと、穹人の女の人が愛し合ったからでしょ?だったら…知ってるじゃないか。共に理解し合えば良いんだってこと……わかってるじゃないか!」
弥晴は何も言わない。ただ、カノヤの声だけが響く。
「あんたのしようとしてることは、あんたが散々憎んでいる人間たちと同じことなんだよ!どちらか片方が……選ばれた人達が作る世界だともっともらしく言って、やってることはただの人殺しじゃないか!」


