麗雨は自分の体を貫く剣を他人事のように見ていた。
痛いというよりは、熱いと表現するのが適当かもしれない。麗雨は耐えられずに体を弥晴に傾けた。
弥晴は口を歪め、勢いを付けて剣を引き抜く。血飛沫が舞い、麗雨は弥晴の足元に倒れ込んだ。
「麗雨さん!!」
カノヤは物陰に隠れていたのを忘れ、無我夢中で飛び出して麗雨に駆け寄った。
そして、麗雨を抱き起こすと、弥晴を睨み付けた。
「何てことを…!! 実の娘なんだろ!?」
カノヤの悲痛な叫びにも眉ひとつ動かさず、弥晴はそれを黙って見ている。やがて、血のついた剣を揺らして笑った。
「そいつは人間と手を組んだ裏切り者だ。俺の世界には要らない」
「………っ!?」
カノヤは怒りに身を震わせた。
「僕は穹人だけど……そんな世界には住みたくないよ!! あんた、お父さんなんだろ!? 何で…何でだよ!!」
「騒ぐな!お前も斬るぞ」
弥晴は剣を振り上げる。カノヤは麗雨をぎゅうと抱き締め、固く目を閉じた。


