「暴動の目的は何だ?復讐か」
紫呉は麗雨の父――弥晴(みはる)と対峙しながら声を張る。先程、事務局から麗雨の家族構成について知った。母・マリアは穹人で、人間によって殺されている。
弥晴は紫呉の問いを鼻で笑った。
「そんな分かりきったことを聞いてどうする。俺はお前ら人間どもを滅ぼし、選ばれた民で国を立て直す」
「戯れ言を…。お前なんかが選ばれた者だと思うのかい?思い上がりも甚だしいね」
車山は苛立ちを隠しもせずに剣を構え、弥晴を睨み付ける。その後ろから、麗雨が駆け寄ってきた。
「…神野さん、車山。さっきも言ったがの。おとやんとはわしがやるきに。周りの人達と怪我人を頼む」
「だが…」
不安げな紫呉に、麗雨は小さく微笑む。
「仕事に私情は挟まん。……わしは隊長じゃ」
「………………」
初めて向けられる、大人びた少女の笑み。紫呉も車山も何も言えなくなってしまった。


