「麗雨!」
麗雨は、自分を呼ぶ声に我に返った。
肩越しに振り向くと、応援を引きつれた紫呉の姿があった。
「じ、神野さ、」
声を出そうとした麗雨だったが、口を塞がれて途切れてしまう。
手のひらから伝わる温度は温かかったが、父の表情は恐ろしく冷たい。麗雨はその温度差に思わず背筋が冷えた。
「騙されるなよ、麗雨。あいつらはお前の母さんを殺した人間だ」
「…………」
耳元で囁かれる言葉に、麗雨は叫び出したくなった。
紫呉は怪訝そうな表情で言う。
「貴様がテロリストか!?彼女から手を放せ!」
「黙れ、人間。俺は復讐しに来たんだ」
その言葉とともに、校舎から爆音が鳴り響く。
悲鳴と黒煙が晴れた空に不釣り合いだった。
麗雨は首を振って抵抗し、父と向き合うように立った。
「おとやん!これ以上はいかん、関係ない人巻き込んでまで、こんなことしちゃいかん!」
悲痛な麗雨の言葉は届かず、再び煙が上がった。


