駄菓子屋松金 ─マツガネ─




「麗雨。久しぶりだね」

「な、んで……」


おとやん、そう呼ばれた男は、麗雨から無線を奪って地面に投げ捨て、ごく自然な動作で踏み付けて粉砕した。

麗雨は信じられない、と目を丸くしたまま、男を見上げる。


「大きくなったな。それに美人になった」

「ほんとに……おとやん……?人間に、捕まってたんじゃ…」

「そんなもの、とっくに逃げ出してきたよ。仲間もたくさん出来たんだ」


男は麗雨に近付くと、そのままぐいっと抱き寄せた。

混乱していて反応が出来なかった麗雨はそのまま彼に凭れ掛かり、ぎゅう、と抱き締められる。


「お前も、この人間たちに苦しめられてきただろう?」


この人間たちとは、この学校の生徒や教師の事だろうか。麗雨は男の顔を見ずに、胸元で口を開いた。


「これ……おとやんがやったがか?」


すると、男はふっと微笑み、


「そうだよ」


と応えた。