麗雨は目の前の状況にただ愕然とした。
不意に話し掛けてきた男子生徒が、カバンから小さな手の平サイズのボールのようなものを取り出し、麗雨に投げ付けてきた。
勿論そんなもの、銃弾何かよりは止まっているかのように遅いので、何の問題もなく躱すことが出来たのだが、そのボールが壁に当たった瞬間に、耳をつんざく爆音と、肌を焼く爆風に吹き飛ばされた。
幸い一階の玄関付近だったので転落死は免れたが、スカートから露出していた脚を床や瓦礫に強かに打ち付け、鈍い痛みを伴っていた。
起き上がって周りを見渡すと、さっきまで自分を取り囲んでいた生徒達は瓦礫の下敷きになっている。
早く助け出さなければ圧死してしまうだろう。
痛む脚を引きずって、彼らの上に積み重なった瓦礫を避けようとすると、今度は二階の職員室付近で爆発が起き、男女どちらのものかもわからない悲鳴が爆音に混ざって聞こえてきた。
これはマズイ。
いくら頭が悪い麗雨にもそれは理解できた。麗雨はカバンに入れていた無線を取り出し、神野に連絡を入れる。
「神野さん、学校爆破されて通える状況じゃねぇさ。テロ…かもしれんけど…何とも……」
無線を口元にあてたまま、麗雨は目を見開く。そして、目の前に立っている人物を視界に入れると、
「………おとやん」
と小さく口を動かした。


