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「それからアンタの親馬鹿奮闘記が始まったって訳ね」
「そーなんだよ! 麗雨が可愛くて仕方なくてさ。愛護に入るのも、最初は反対したんだ」
話を聞き、呆れたように納得する常磐に、勇一は嬉しそうに返す。
その姿は娘自慢をする父親そのものだ。
「でも、物心付いたとき、俺の手伝いがしたいって聞かなくて。それで、喧嘩も強いから試しに特刑入れたら、なんとスピード出世で隊長になるわ、暴力団潰すわ…暴れ放題なんだよな」
「確かに、彼女喧嘩の時が一番輝いてるわ」
常磐は、いつだか麗雨に手合わせしてくれと頼まれたことを思い出し、苦い顔をしながら鈴カステラを口に運ぶ。
暴れるのが大好きというのは、年ごろの娘としてどうかと思うが、やはり勇一も常磐と同じ気持ちなのだろう。
だから今回の潜入捜査で、少しでも学生生活を楽しみ、年ごろの子たちと触れ合ってもらおうと考えたに違いない。
……それもどうかと思うけれど。
やがて、勇一は腕時計を確認すると、駄菓子代の小銭を取出し、常磐に渡す。
「じゃ、そろそろ戻るな」
「そうだ、仕事しろよ税金泥棒」
そう言いながらも、常磐の表情は穏やかだった。


