駄菓子屋松金 ─マツガネ─





──…



「それからアンタの親馬鹿奮闘記が始まったって訳ね」

「そーなんだよ! 麗雨が可愛くて仕方なくてさ。愛護に入るのも、最初は反対したんだ」


話を聞き、呆れたように納得する常磐に、勇一は嬉しそうに返す。
その姿は娘自慢をする父親そのものだ。


「でも、物心付いたとき、俺の手伝いがしたいって聞かなくて。それで、喧嘩も強いから試しに特刑入れたら、なんとスピード出世で隊長になるわ、暴力団潰すわ…暴れ放題なんだよな」

「確かに、彼女喧嘩の時が一番輝いてるわ」


常磐は、いつだか麗雨に手合わせしてくれと頼まれたことを思い出し、苦い顔をしながら鈴カステラを口に運ぶ。

暴れるのが大好きというのは、年ごろの娘としてどうかと思うが、やはり勇一も常磐と同じ気持ちなのだろう。

だから今回の潜入捜査で、少しでも学生生活を楽しみ、年ごろの子たちと触れ合ってもらおうと考えたに違いない。

……それもどうかと思うけれど。

やがて、勇一は腕時計を確認すると、駄菓子代の小銭を取出し、常磐に渡す。


「じゃ、そろそろ戻るな」

「そうだ、仕事しろよ税金泥棒」


そう言いながらも、常磐の表情は穏やかだった。