あの夏の日。




「ハエがウロチョロうるさかったから!気にしない気にしないって思ったら声に出ちゃっただけです。」

う〜ん…、
我ながら下手な言い訳。

『ふ〜ん』

いっちーさんは口元を片手で覆いながら、笑っている。
いっちーさんは笑う時に口元を手で隠すのがくせなんだ。
最近一緒にいる時間が増えて、気付いたこと。

わたしはこの仕草がとてもスキ。



「なに笑ってるんですか!」

頬を膨らませて、わたしは言う。

『だってハエなんていないよ』

ごもっともです。
でも本当のことなんて言えないでしょ!?
アナタがスキだから、彼女さんとのペアリングがチラチラと目に入るのが気になるなんて…

言えないでしょっ!

頭の中で言ってたらボルテージ上がって来ちゃって、



「いっちーさんが悪いんだもん!」

と、毒づいてしまった。素直になれないわたし。いやいや、素直にはなれない。なってはいけない。アナタには、彼女さんがいるんだから。






*