あの夏の日。




漫画を読んでる間もわたしはいっちーさんを盗み見る。

サラサラの黒髪。
細い切れ長の目は今は漫画を見るために伏せがちになっていて少し色っぽい。
ページをめくる指は、長くてきれい。

ふと、目に入る左手の薬指にいつもいつもはめられている指輪。
あれは彼女の伊織さんとのペアリング。

気にしないと思っていても、少しだけ胸が苦しい…



望まないって決めたはず。
もともと彼女さんいるのは知ってたんだよ、わたし。
分かっててスキになったんだから。
こうして一緒にいて、会話できるだけでも嬉しいんだから。
仲がよい後輩っていうポジションで十分なんだよ。
周りが認めるくらい先輩とわたしは仲が良いんだから!



「…気にしない。」

『えっ?なに?』



いっちーさんの言葉で、わたしが頭の中で考えていたことが口から出ていたことに気付いた。


やばっ!






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