あの夏の日。




「な、なんか…わたしっ」



何かがブツッと切れたように、誰にも言えなかった葛藤をちょっとだけ誰かに知って欲しくて、全部吐き出したんだ。





「わたしっ、最近だめなんです…す、すぐっ、落ち込むし、よく変なことっ、かんがっ、えるしっ、友達のこと信用できない。同い年の子には心開けなくて、…っ、先輩たちといる方が好きで、同い年の子のことっ、ヒック、見下して見ちゃうしっ、そんな自分嫌だし、でもっ、ヒック、そんなんじゃダメって分かってるっ、」




大したことじゃないけど、ウジウジ悩んできたこと。いつの間にか、胸につかえてもがくようになっていた。




上手く自分の感情を表現できなくて、でも話そうとして、涙をボロボロ流して、頭の中も顔もグチャグチャだったけど、



いっちーさんが突然、きれいな手を私に向けてきたから。
何かと思って、彼の方を見たの。




『うわわわ、そんな泣かないで』


って慌ててるくせに、


いっちーさんの人差し指がわたしの目からこぼれ落ちる涙を拭ってくれるから。





今度は違うドキドキがやってきて、びっくりして、単純なわたしの涙はピタリと止まった。





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