言うつもりじゃなかった。ただ自然と口から出てきたのだ。 私は振り返らないまま静かに目を閉じた。 まったく中原、アポとってないじゃない。 中原への不満と今の状況を頭の中でどうにか整理する。 「…百合亜。」 黙っていた優斗が私の名前を呼んだ。 名前を呼ばれただけで胸がドクンという反面ズキンと針が刺さったような気持ちにもなった。 私はそっと振り返った。 振り返ると少し髪が伸びた優斗がいた。 優斗はベランダの入口のところで止まっていた。 そんな優斗に私は静かに呟いた。