甘いキスに。
甘い時間に。
甘い想いに。
甘い貴方に。


どんなに時間を費やしたって私の心を埋めるのには何百年かけても埋めることは出来ないわ。


「ねぇ、桜井さん」


「何ですか?」


「飲みに行こうよ」


やっぱり男は、いつもそう。
理由をつけて快楽を求めてる。

昔の私なら答えていたでしょうね。

今の私は…


「すみません」


私の何かが変わったの。ホイホイついてく私じゃなくなった。

きっと沢水のせいね。
今度、逢うことがあったら言おうかしら。




「世渡り上手な貴方。下手な私に答えを教えて」




甘い想いに。
甘い囁きに。
甘い身体に。
甘い顔に。
甘い指に。
甘い唇に。



私に《貴方》を教えて。



◆完◆