“陸上は高校からですよね?中学校でら何を?”


“バレーやってました”


俺は面倒臭いと言わんばかりにうつ向いて答えた。


“陸上を始めたきっかけは?”


“友達に誘われたので”


その後も長い質問が続いて、やっと記者達から解放された時には、女子長距離走が始まるところだった。


勿論彼女もいる。
今回もまた、頭のポニーテールが誇らしげに揺れている。


競技が始まっても相変わらず、彼女はキレイな走りでフィニッシュを決めた。










俺は、あんなふうに堂々と決められたのか…?










そんな疑問がふと浮かんだ。










引退までに、一度は決めたいと思ったんだ。