俺は唯、表彰台に立つことだけを考えて走っていた。


“こんばんは”


俺は不意に声をかけられた。


“!!”


“直でしょ?”


声の主は`マリン´だった。


“あぁ”


“がっかりした?”


いや、むしろ…


“驚いた”


“そう。

ねぇ、明日も走るんでしょ?”


“あぁ。それは`マリン´もだろ?”


“うん。
今走って大丈夫なの?
明日に疲れ残らないの?”


“俺は並外れに体力あるから”


そう言って俺は笑った。


“ってか、`マリン´は大丈夫なの?”


“そう言えば、直は昔から体力あったね。

私も体力は並外れだから”


そう言って`マリン´も笑う――……。