“よかったー、詩音の隣に座ったのが直さんで。翔が座ってたら大変だよねー、面倒見悪いし、しかも女の子に弱いから、こんな冷静にいられないでしょ?”


“うるっせぇな。まぁ、直は女の子に優しいからな…”


“ホント、ありがとう。いろいろと”


朝倉は、以前のように爽やかに笑った。



翔と朝倉はああ言っているが、内心俺だって冷静じゃない。中学の時よりも伸びた髪、少しやせた顔。今は閉じている瞳も、今のほうが断然輝いている。





俺は、無意識に彼女の頭を撫でながら、ふと`マリン´のことを思い出した。



あれっ?
「人魚姫」ってどんな話だ?
`見つけてくれなかったんだ´
俺を咎めるように見た`マリン´…。



あぁ、そうだ。