“いいじゃん、ダメ元で”


……――仕方なく、俺は彼女に声をかけた。


“桜木―…、桜木詩音――……”


だけど彼女は振り返って俺を見ると、驚いたように目を見開いて、何も言わずに何処かへ行ってしまった。










気に入らない…










俺は無意識に舌打ちをしていた。










“ホント、嫌われてるね、直”


“だから言ったじゃん”


“えっ、でも男嫌いなんでしょ?しかも、詩音ちゃんだっけ?赤くなってたよ?”










ありえない。彼女が赤くなる?絶対にない………










“ほら、もう戻ろうぜ?”