思えば、3年前に入学して、翔に出会わなければ、陸上なんて選ばなかっただろう。

期待の新人スプリンターなんて言われることもなかっただろうし、全国大会に行くこともなかっただろう。


新人戦で予選敗退して、海辺を走ることもなかった。

そしたら、詩音と付き合うこともなかったわけで、大学だって受験したかどうかも分からない。


なんだか、いろんな偶然が重なって今があるのかと思うと、自然と涙がこぼれる。

周りを見ると、翔たちも泣いていた。