君にキス。







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昼休み。
パンを食べ終わり、宛もなく深と校内を歩く。




「……こら、本を読みながら歩くな深」

「うわっ、ちょっと返せよ! いいとこだったのに!」






表紙には可愛い女の子の絵……、何かの文庫本だ。
下に付いている帯には『祝! アニメ化!』と赤字ででかでかと。


そんな本を深の手から抜き取ってパタンと閉じ、それを再び深に渡す。




「…読むなよ?」

「へいへーい」


普通サイズより小さい文庫本をポケットにスポッと入れて再び廊下を歩く。




不意に階段に通りがかり、何故か引かれるように階段を昇った。