君にキス。





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そして情報処理。
ワープロ検定に向けて、ひたすら打つというなんとも地味な作業。






カタカタとキーボードを叩く音が耳に届く。
パソコンは得意な方で、打つのも早い方だと思う。






情報処理の時間が、自分的に一番好きかもしれない。
静かで、キーボードの音しかしない。





だが、何処からか人並み外れてキーボードを叩く激しい音がする。


カタカタ、ではなく、ガンガン、だ。
この騒音、もう聞き慣れてしまった自分が嫌になる。






大迷惑極まりないキーボードの音、それはそう。


──深なのだ。
キーボードを一つ一つ力強く破壊している。





キーボードと睨み合い、教科書と睨み合い、そして飽きてしまったのか、最後には欠伸をして放置状態。








深が検定に受かったら奇跡に程近いだろう。
パッと情報処理教師を見れば、深を見ながら苦笑い+ため息。


きっとこんなにパソコンが出来ない高校生を見たのは初めてなんだろう。