「少し気にしたりしないわけ?」
「…しない」
少し躊躇ったのは何故か、自分でもわからなかった。
全く気にしたりしない、わけでもない、かもしれない。
誰だって、一回何か関係持った人のことを気にしたりするのは当たり前だ。
「あ、そういえばあの子…」くらい、俺だって少し思ったりする。
もちろん、今だって。
でも、やっぱり気にしてもしょうがない。
「あ、陸、次情報処理だとよ」
「ん」
情報処理……、パソコンの時間。
「俺パソコンキラーイ」
深がそう言う。
俺はそれを横目で流す。
情報処理の教科書を持って、深より先に教室を出た。


