「ななな…っ!」
「ばっちり、見てたよね?」
……っそんなの、答えられるわけないでしょぉ!!??
「すごいカオしてるよ?」
あたしの顔の横には、一春の手。
絶対逃げられないように、さりげなく、自分の体を持っていってる。
かなり、危険な体勢なのは、絶対気のせいなんかじゃない。
あたし、かなりピンチなんじゃん?
焦んなきゃ。
どうにかしなきゃ。
そんな風に思う状況。
そのハズなのに。
「カオ、百面相してる」
そう言って、くすくす笑う、一春は。
いつもの無邪気な笑顔じゃなくて、妖艶で、何かを含んだような、大人の笑顔で笑ってて。
そんな、一春に。
――あたし、凄くどきどきしてる。
