ダーリンは王子様★

案の定高校は誰も俺のことを知らなかった。


それが妙に心地よかった。



新しい自分がここにはいて、新しい自分をみんなが認めている、そんな気がした。


髪の毛や見た目にこだわるようになったのは入学式の在校生代表挨拶で梓さんを見てから。


キラキラしていた。男の俺でも見とれるくらい梓さんはキレイでまぶしかった。


俺もあんな風になれるだろうか…



その日家に帰って、極妻みたいな姉貴にカッコいい男とは何か聞いたら延々と1時間以上語られた。


聞いて失敗。


でも「あたしに任しときな!」とやる気満々の姉貴は勝手に俺をイメチェンし始めた。


まぁ今までオシャレとは無縁でどこから手をつけりゃいいかわかんなかったから勝手にやってくれるほうがラクだった。



今の俺があるのはあのスパルタ姉貴のおかげでもあるのだ。



…だからやたらと恩着せがましいのかな、アイツ。





学校につき自分の下駄箱の前まで来ると俺は肩で大きく息を吸った。


「俺の下駄箱はいつからポストに変わったんだろう…〒のマークでもつけようかな…」


下駄箱の扉に手をかけそうっと開ける。



ドサッ……


ドサドサドサドサ!