ダーリンは王子様★

「…あたし、ちょっと行ってくる!」



マスクもメガネも外し臨戦態勢に入る。




「ちょっと!今ユカリンが出てったら火に油を注ぐようなもんだよ!」


「だってなんで王子が土下座なんかしなくちゃ…」



そんなの見てられないよっ!



香奈ちゃんにムリヤリ止められもがくあたしの前で、王子は舞台横に一歩ズレた。


王子の頭から足の先まで全部が見える。



「土ー下ー座!土ー下ー座!」



おもしろ半分でコールを呼ぶ人、本当に怒ってる人、王子の土下座なんてみたくなくて目を背ける人、色んな人の色んな感情があたしの中に入ってくる…


やめてよ……


もうやめてよ……



王子がその場にヒザをついた。



やめて……



王子




ダメだよ!!




あたしを押さえていた香奈ちゃんの腕を思いっきり振り払う。



「ユカリン!」



「……ちょっといい加減に………」


「土下座しろなんて最高にダサいこと言ってんのはドコのどいつー?」



『ちょっといい加減にしなよ!』と叫ぼうとした瞬間、誰かがあたしの肩に手を置いて言った。




「土下座が見たいなんて悪趣味極まりないんじゃないの?」



「あ……あず先輩っ!」


「やっほ☆ユカちゃん♪」



あたしの後ろにいたのはあずさん!


全員の視線が一気にあずさんへと集中した。



「ユカちゃんが怒りたい気持ちはわかるけど、僕にも言いたいことがあるから待ってくれるかな?」


そう言われあたしは思わずコクリとうなずいてしまった。